自分の表現世界を確固たるものに
ぷらいどさん、
この文面だけですと、具体的にどのようなアート活動をされているのか、どこに住んでいるのか、の2点が判らなかったので、ちょっとピントはずれな答えになるかもしれませんが、以下のようなことを助言したいと思います。
まず、東京かもしくは近郊に住んでいるなら、パフスペースをフルに利用にして、レズビアンアーティスト、ジェンダー表現者の方々と実際に会う機会を作って行ってはどうでしょうか。パフスペースは東京のコミュニティの中で、現在、あなたの望まれる方々との出会いの可能性がいちばん高い場所と思わるからです。
掲示板にこの相談室に書いてくれたような内容の呼びかけ文を張り出し、同じことに興味を持っている仲間を募るのです。仲間が集まったら、月に一回でも良いので会合を持って、互いの意見交換をしたり、作品の講評をしたりしながら、女性アーティストとしての価値観を磨いていく。
地理的に無理なら、パフナイトのウエブページなどを利用して、バーチャルに仲間を集めて、ネットを通じて意見交換をする場を作って行くという方法もありますが、私は断然、実際に会う機会を持つ方をお薦めします。同じようなことを志向する仲間の顔を見ながら、刺激的な意見を交わす面白さや醍醐味は、バーチャルでは得られないものだからです。
また、あなた自身のアート活動の発表の場としてパフスペースを利用させてもらうことも出来るでしょう。展示できる作品なら展示してもらうなど、レスビアン・コミュニティの中にあなたの表現を積極的に提示しながら、支援を受ける喜びや、批評に耐えて表現者としての力を付けていくことも出来ると思います。そんな活動を通じて、自然と先輩たちとの出会いも出来ていくではないでしょうか。
ぷらいどさんの文面を読んでいて、まだまだ模索中といういう印象を持ったので、仲間を持つことと、ともかく自分を表現する場をどんどん増やしていくことの2点に力を入れて、ご自分の表現世界を確固たるものにして行かれると良いのではないかと思います。
表現者の生き方は、ジェンダーやセクシュアリティに関係なく、誰も行ったことのない暗闇を一人で歩いていくような孤独な生き方です。何年も何年も誰からも評価を受けることがなく、ミソクソに言われるかもしれない厳しい道です。公募の男性審査員に理解してもらえる、という期待は持たない方がよいでしょう。
以前、作家の桐野夏生さんにインタビューした際、彼女の大ヒット小説『OUT』(主婦が死体解体業をするミステリー)が男性作家に嫌われ、直木賞を始め多くの文学賞から落とされたというお話を聞きました。どの世界も同じですね。審査員の評価ではなく、自分が何を表現したいのか、それを充分表現出来たのか、を評価の第一とするという姿勢を持ち続けてください。
外からの評価が得られなくても、自分の表現を辞められない人が、表現者として生き残っていくのです。表現の場がないのなら、自分で作っていくぐらいの気概を持たないと、難しい生き方だと思います。だからこそ、あなたの表現活動を評価してくれる先輩や仲間、応援者が必要なのです。ただし、彼女たちの厳しい批評は、痛くても謙虚に聞く耳を持ってくださいね。
最後に、コンテンポラリー・アートの世界では、かなり知的に作品を語るというトレンドがあり、そのために表現者がガチガチに作品の理論武装をしなければならないプレッシャーがあるように思うのですが、どうなのでしょうか。あまりそのことに足を取られないようにと、願うばかりです。人を感動させるのは作品そのものである、ということを忘れてはならないと思います。
最後に、この応えを書くにあたって、パフスペース運営スタッフで、ノンフィクション・ライターの沢部ひとみさんの協力と助言を頂きましたありがとうございます。
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